喉の違和感、つかえが続く方は「がん」など重大な病気が隠れている可能性があります
次のような症状はありませんか?
- 食事をするときにのどがつかえる
- 喉に違和感がある
- 以前より飲み込みづらくなった
- 飲み込むときに喉が痛い
このような症状がある方は一度検査を受けていただくようにお薦めいたします。
目次
喉の違和感、つかえ感を起こす可能性がある疾患は次のとおりです
- 食道がん
- 咽頭がん
- 喉頭がん
- 逆流性食道炎
- 食道アカラシア
- 好酸球性食道炎
- 変形性頚椎症
喫煙者や大酒家、アルコールで顔が赤くなる人は要注意です。
飲酒・喫煙する方は喉頭がん、食道がんのリスクが上昇します。
国立がん研究センターのコホート研究(Eur J Cancer Prev.2018 Mar;27(2):171-179)によれば、男性では喫煙により口腔・咽頭がんの罹患リスクが2.4倍増加、女性では2.5倍増加することが明らかになっています。 また飲酒でも男性の場合は口腔・咽頭がんの罹患リスクが1.8倍増加、女性では5.9倍もの増加があることが示されています。 食道がんにおいても同様で、過去の研究結果から約3倍、癌を発症するリスクが高くなるといわれています。
アルコールで顔が赤くなる人は飲酒により食道がんなどにかかるリスクが高くなります。
お酒を飲んだ時に顔が赤くなる反応をフラッシング反応といいます。フラッシング反応がある方は、アルコールを分解する酵素の働きが弱かったり、全くないことが原因です。 フラッシング反応のある人は、飲酒に関連するがん(口腔がん・咽喉頭がん・食道がん・胃がん・大腸がん・肝臓がん・乳がん)にかかる可能性が高いとされています。 フラッシング反応がある方はアルコールを飲む習慣はやめて、飲むとしてもアルコール度数の低いものにするとよいでしょう。
喉の違和感、つかえ感がでたら
POINTまず胃カメラ検査を受けましょう
喉の違和感、つかえ感の症状がある場合は、胃カメラ検査を受けるようにしましょう。胃カメラ検査は下咽頭から食道まで、症状の原因となるがんや炎症などの所見を観察することができます。
鼻詰まりや耳閉感がある場合
鼻詰まりや耳閉感がある場合は耳鼻咽喉科も受診をしましょう。上咽頭などの病変では口からの胃カメラでは病気の発見が難しい場合があります。
喉の違和感、つかえ感の原因疾患
食道がん
食道は咽頭と胃の間に存在する臓器で、食べ物を胃に運ぶための臓器です。食道がんはそのどこかにがんができる病気です。
食道がんは男性に多く、60~70歳台の方によくみられます。喫煙と飲酒が原因のほとんどです。食道がんの90%が扁平上皮癌ですが、数%程度に腺癌が発生することもあります。腺がんの危険因子は、飲酒や喫煙ではなく、逆流性食道炎による下部食道の持続的な炎症によってできるバレット上皮が原因となります。
(逆流性食道炎についてはこちらもご覧ください)
診断には内視鏡検査を行います。
治療は内視鏡治療や放射線療法、手術、抗がん剤治療があります。早期の食道がんでは内視鏡治療で完治を見込める方もあり、早期発見・治療が重要です。
咽頭がん・喉頭がん
咽頭喉頭に発生する癌です。飲酒や喫煙が原因となります。喉に腫瘍ができることで喉の違和感や飲み込みづらさ、咽頭痛、嗄声(声が枯れる)などの症状が出現します。
専門は耳鼻咽喉科の領域となりますが、胃カメラ検査中に発見されることも珍しくはありません。
逆流性食道炎
胃酸の逆流により食道に炎症を起こします。通常は食道の下部に炎症を起こすのですが、逆流が喉のあたりまである場合は、喉の違和感やつかえ感の原因となることがあります。
のどのつかえ感に加えて、「酸っぱいものがこみ上げる」などの症状がある場合は逆流性食道炎が原因の可能性があります。
診断には内視鏡検査を行い、胃と食道のつなぎ目(胃食道接合部)の炎症を確認します。
逆流性食道炎についてはこちらもご覧ください。
食道アカラシア
食道アカラシアは下部食道括約筋の異常により、胃食道接合部(胃の入り口)の弛緩がうまくいかなくなる病気です。食道の運動の低下もみられ、食物がうまく胃に入らず食道内に停滞してしまいます。
10万人に1人ほどの頻度であり、まれな疾患になります。診断には内視鏡検査やバリウム検査などを行います。
好酸球性食道炎
好酸球性食道炎は、男性に多く、白血球の一種である好酸球が主体となって食道に炎症を起こす疾患です。
逆流性食道炎と同じような症状で胸焼けや逆流症状、食べ物のつかえ感を起こすことがあります。
診断は内視鏡検査で好酸球性食道炎に特有な所見を確認し、病理検査を行い確定診断します。
治療は逆流性食道炎と同様に胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬を使用したり、改善が無い場合はステロイド製剤などを使用します。
変形性頚椎症
変形性頚椎症は主に加齢により、椎間板の変形や骨棘が形成されることで周囲の神経や血管を圧迫する病気です。頸椎のすぐ前方には頚部食道があり、頸椎の変形が前方に起こることで、食道を圧迫し、つまり感や違和感の原因になることがあります。診断には内視鏡検査を行い、食道の内側に病変がないことを確認し、頚椎症の診断のためにはMRI検査などが必要となります。
お問い合わせ
東海内科・内視鏡クリニックでは地域の皆様の健康に貢献するため、内科・婦人科診療をおこなっています。 喉の違和感やつかえ感が続き、症状が気になる際は当院で内科的な検査を行うことが可能です。少しでも気になることがございましたら、お気軽に当院へご相談ください。 胃カメラ検査についてはこちらもご覧ください。
文責:東海内科・内視鏡クリニック岐阜各務原院 院長 神谷友康