消化器内科とは
消化器内科は消化管の食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、さらには肝臓、胆のう、膵臓といった消化器全体の症状や疾患を専門的にみる診療科です。
当院では、豊富な診療経験を持った消化器病専門医、消化器内視鏡専門医が消化器内科の診療を行っています。症状や状態に合わせてX線検査、胃カメラ・大腸カメラ・超音波(エコー)検査などの検査を行って、結果をもとに診断し、適切な治療につなげます。
胃カメラや大腸カメラの検査は一般的な内科医や外科医でも検査が行われることがありますが、しっかりと専門的かつ高度な内視鏡を受けるためには消化器内科で検査を受けることをお薦めします。
女性の腹痛、腹部症状もお任せください。
当院では産婦人科の専門医が在籍していることから、女性の方の腹部症状や腹痛に関して消化器領域と婦人科領域について気軽かつ専門的に医療を提供することが可能です。どちらの科にかかればいいのかお悩みの方は同日に両方の科を受診することが可能ですので、当院にご相談ください。
検査の結果、さらに精密な検査や入院が必要と判断された場合には連携している高度医療機関をご紹介し、退院後は当院で経過観察や治療を引き継ぐこともできます。
肝臓や膵臓、胆嚢の病気もお任せください
消化器内科では胃や大腸などの臓器だけでなく、肝臓や膵臓、胆嚢などの病気も日常的に診療しています。
消化器内科で担当する主な病気 - DISEASE
消化器内科ではお腹の中の様々な臓器を診療しています。担当する病気は下記のとおりです。
- 消化管の病気
- 肝臓・胆のう・胆管・膵臓の病気
- 急性肝炎
- 慢性肝炎
- 脂肪肝(アルコール性、非アルコール性)
- 肝硬変
- 肝障害
- 胆石症
- 胆のうポリープ
- 胆のう腺筋腫症
- 胆のう炎
- 胆のうがん
- 胆管炎
- 胆管がん
- 体質性黄疸
- 急性膵炎
- 慢性膵炎
- 膵のう胞
- 膵がん など
当院で可能な消化器内科の検査
下記のような症状がある場合は当院にお気軽にご相談ください。
主な症状 - SYMPTOMS
- 胸やけ、胸部灼熱(しゃくねつ)感、胸痛
胸やみぞおちあたりに焼けるような熱感症状がみられたり、呑酸といわれる、酸っぱい酸味がこみ上げてくるような症状がある場合は逆流性食道炎などの疾患の疑いがあります。逆流性食道炎は胃酸などが逆流して食道粘膜を傷付けることで生じます。食道粘膜の炎症が認められず、逆流症状のみが出現する方もみれます。
胸痛などの症状は消化器疾患以外も考える必要があり、気胸、狭心症・心筋梗塞、大動脈解離などの心疾患や肺疾患など緊急を要する疾患でもこうした症状を起こすことがあり、注意が必要です。また肋間神経痛や帯状疱疹、肋軟骨炎といった体表面の痛みの可能性もあります。これらの疾患は内科でしっかりと鑑別診断を行っていく必要があります。
考えられる疾患 | |
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心・血管疾患 |
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肺疾患 |
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消化器疾患 |
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その他 |
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- 飲み込みづらい、つかえ感
咽頭がんや喉頭がん、食道癌などの悪性腫瘍が原因で、食事の通過がしにくくなったり、飲み込みづらい、違和感があるなどといった症状を起こすことがあります。特に長期で喫煙をしている方や、焼酎・ウイスキーなどのアルコール度数の高いお酒を飲むなどの習慣がある方は注意が必要です。
がん以外にも逆流性食道炎や食道アカラシア、食道憩室などの疾患でも症状を起こすことがあります。症状がみられた場合にはまず癌などの悪性疾患がないかを判断するために、胃カメラ検査を必ず受けるようにしてください。
- 胃が痛い・みぞおちの痛み
みぞおちのあたりに痛みを起こす原因は、急性胃炎・慢性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、十二指腸炎、機能性ディスペプシア、胃癌、膵炎、胆石症など様々な疾患が考えられます。空腹時に痛みを感じたり、食後に痛みを感じたり、持続的な痛みや間欠的な痛みなど痛みの性状、腹部を押すと痛みがあるなどの所見を総合的にみることで、ある程度疾患を絞り込んでいくことが可能です。
他には心筋梗塞でもみぞおちあたりに痛みを感じることもあり、鑑別が必要となります。胃カメラ検査や腹部超音波検査、血液検査などにより症状の原因を検査していきます。
- おなかが痛い
おなかの痛みは部位により様々な疾患が考えられます。部位として大きく上腹部と下腹部、右側左側で疾患が違ってきます。
① 上腹部痛
急性胃炎・慢性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、十二指腸炎、機能性ディスペプシア、胃癌、膵炎、胆石症、胆嚢炎、胆のう癌、膵癌などといった病気が考えられます。
右上腹部は胆のうや肝臓が存在していますので、胆石症、胆嚢炎、胆のう癌などを考慮します。
② 下腹部痛
虫垂炎や憩室炎、腸炎、腸閉塞、大腸癌、泌尿器疾患、婦人科疾患などが考えられます。虫垂は通常右下にあるので、右下腹部痛の場合は可能性があります。しかし虫垂炎の初期ではみぞおちあたりの痛みから始まることもありますので、診断が難しいことがあります。回盲部炎をおこしやすい、サルモネラ菌やカンピロバクター腸炎なども考慮していきます。
痛みの性状や部位などにより、疾患を絞り込み、必要な検査を行っていき診断を行います。おなかの痛みに伴って、下痢や便秘、嘔吐・嘔気などの症状があれば、消化器の病気が痛みの原因である可能性が高くなります。
また痛みが急激に起こっているのか、以前から痛みが続いているのかによっても考える疾患がかわります。
また女性の方は消化器系の病気だけではなく婦人科系の病気の可能性があります。妊娠の有無や不正出血の有無などによりいろいろな病気が考えられます。
― 腹痛のある際は一度専門医にかかって診察を受けることをお薦めいたします。。
- 背中が痛い
背中の痛みは消化器の病気では膵炎、膵臓がん(膵尾部癌)などの可能性が考えられます。消化器以外の病気では尿路結石や腎盂腎炎などの泌尿器領域の病気や大動脈解離でも背中の痛みを起こすことがあります。尿路結石は突然に強い背部痛や腰部痛が起こり、血尿などの症状が伴うことがあります。他にも筋肉や神経に起こった整形外科疾患の可能性があります。整形外科疾患の場合は痛みが生じるきっかけがあったり、体動時や特定の姿勢で痛みが生じることがあります。
吐き気や腹痛の有無などを確認し、緊急性が高い疾患ではないかを確認することが重要です。慢性的な背部痛では膵尾部癌などの可能性を考慮し、検査などを行っていきます。
考えられる疾患 | |
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心・血管疾患 |
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泌尿器疾患 |
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消化器疾患 |
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整形疾患 |
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- 吐き気、嘔吐
吐き気はたくさんの病気で起こる症状であり、おなかの病気だけで起こるわけではありません。胃痛や下痢などの消化器症状を伴う場合は、胃炎や胃癌、腸炎などの消化器の病気の可能性が高くなります。その他の病気としては、脳出血や硬膜下血腫などの頭部疾患、内分泌障害、腎臓疾患、電解質異常、心筋梗塞、めまいなどの耳鼻科疾患などでも起こすことがあります。
中枢性嘔吐と末梢性嘔吐に分けられ、下記の通りの疾患があげられます。
末梢性 | |
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耳鼻科疾患 |
咽頭刺激、めまい、乗り物酔い、メニエール病、中耳炎 |
眼科疾患 |
心筋梗塞、狭心症、心不全、大動脈解離、腸管虚血性疾患 |
消化器疾患 |
胃がん、大腸がん、逆流性食道炎、胃腸炎、胃潰瘍、腸閉そく、胆のう炎、膵炎、便秘 |
婦人科疾患 |
卵巣軸捻転、子宮外妊娠、妊娠 |
中枢性 | |
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頭蓋内疾患 |
脳腫瘍、脳出血、くも膜下出血、脳炎、髄膜炎 |
薬物・中毒 |
抗がん剤、アルコール、モルヒネ、抗不整脈薬、その他 |
代謝異常 |
尿毒素、肝性脳炎、糖尿病性昏睡 |
内分泌疾患 |
甲状腺機能亢進症、副腎不全 |
精神疾患 |
神経症、不安症、恐怖症 |
このように嘔吐を起こす病気は多岐にわたるため、しっかりとした診察と検査、診断を受ける必要があります。
- 便秘
体外に排出されるべき便が、体内に溜まってしまっている状態を便秘といいます。何日以上が便秘というはっきりとした定義はありませんが、一般的には3日以上排便がなければ便秘とすることが多いです。
便秘といってもさまざまな種類があります。
- 機能性便秘
…いわゆる一般的な便秘です。 - 器質性便秘
…大腸癌や腫瘍などが原因でおきます。 - 症候性便秘
…他の疾患が原因で引きおこる便秘です。 - 薬剤性便秘
…便秘を引き起こす薬剤を内服することでおきます
一般的には機能性便秘のことを便秘と呼ばれます。機能性便秘は生活習慣やストレス、加齢などが原因で起こります。
機能性便秘の中でも①直腸に便がたまる直腸性便秘、②大腸の動きが弱まることで起きる弛緩性便秘、③大腸の運動の動きが上手くいかなくなることで生じる痙攣性便秘があります。
ひとえに便秘といえども便秘の種類があり、それに適した治療法があります。便秘は心疾患や脳出血などの脳血管障害の原因になると考えられており、適度な排便を保つことが大切です。
- 下痢
下痢は糞便中の水分が増加した状態をいいます。
食べ過ぎなどの食事内容による下痢もありますが、過敏性腸症候群といわれるストレスや精神的な不調でおこる下痢や、細菌やウイルスによる感染が原因となったり、炎症性腸疾患とよばれる特殊な腸炎による下痢もあります。
細菌やウイルスが原因となる下痢の場合は、下痢止めなどを安易に使用すると、感染遷延し、かえって病状が悪化することがありますので、使用しないでください。下痢の時に一番重要なことは脱水にならないことです。水分摂取も水やお茶だけではなく、ミネラル分が入ったスポーツドリンクや経口補水液がおすすめです。経口摂取が難しいときは点滴などの経静脈的投与が必要となります。
1ヵ月以上続くような慢性的な下痢は、クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患の可能性がありますので、一度大腸カメラ検査を受けていただくことをおすすめいたします。特に潰瘍性大腸炎は徐々に患者数が増加してきています。潰瘍性大腸炎やクローン病についてはこちらのページにも書かれておりますのでご参照ください。
- 血便
便に血が混ざる病気としては、代表的な疾患として大腸癌があげられます。ほかに頻度が高いものは痔出血、その他に虚血性腸炎や潰瘍性大腸炎などの疾患が挙げられます。血便の原因を調べるには大腸カメラ検査を行う必要があります。
肛門からの出血=痔と安易に考えてしまい、検査を躊躇してしまいますと、大腸癌などの病気を見過ごしてしまう可能性がありますので、大腸カメラ検査を一度は受けていただくことがおすすめです。
- 食欲がない、体重が減った
普段とかわりのない生活をしているのに、体重が減少してしまったり、食欲が極端に低下してしまう場合、癌や重度の糖尿病など深刻な病気が進行している可能性があります。他にも甲状腺機能亢進症やたんぱく漏出症候群などでも体重減少の症状を起こすことがあります。深刻な症状につながる可能性が高いので、早めの受診をお勧めします。
検査結果で異常を指摘された方へ
POINT健康診断や人間ドックで異常を指摘された場合は、早めに受診してください
必要な検査を受け、疾患の有無を調べることが重要です。
当院では、胃のバリウム検査で異常を指摘された際の胃カメラ、便潜血検査で陽性となった際の大腸カメラ、肝機能異常では血液検査や腹部超音波(エコー)検査など、さらに詳しい検査を行い、専門医が診断・治療を行っています。
また、腫瘍マーカーが高いと指摘された場合にも必要な検査を行っております。腫瘍マーカーといってもいろいろな種類があり、異常値の種類によっては、連携している高度医療機関をご紹介して必要な検査を速やかに受けていただけるようにしています。
そもそも腫瘍マーカーとは?
特定のがんによってよく作られる特定のタンパク質などの物質を指します。
主に血液検査で測定が可能ですが、がんの有無やがんがある場所は、腫瘍マーカーの値だけでは確定できないため、内視鏡検査、CT検査など画像検査を用いて初めて診断を確定できます。
早期がんのほとんどは腫瘍マーカーは上昇しません。
腫瘍マーカーは進行がんにおいて上昇することが多く、早期のがんではほとんど上昇することはありません。しかし、早期のうちにがんを発見するためにはやはり胃カメラ検査や大腸カメラ検査、CT検査などの画像検査が欠かせません。(前立腺がんなど、例外的ながんもあります。)
消化器領域と腫瘍マーカーの種類
消化器領域のがんと上昇する可能性が高い腫瘍マーカーは下記のとおりです。
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- 食道がん:SCC、CEA
- 胃がん :CEA、CA19-9
- 大腸がん:CEA、CA19-9、p53抗体
- 肝臓がん(肝細胞がん):AFP、PIVKA-Ⅱ、AFP-L3
- 胆道がん:CA19-9、CEA
- 膵臓がん:CA19-9、Span-1、DUPAN-2、CEA、CA50
当院の胃カメラ検査や大腸カメラ検査については下記のページをご覧ください。
健診などで数値の上昇がみられた際は精密検査を受けるようにしましょう。
お問い合わせ
東海内科・内視鏡クリニックでは消化器病専門医の医師が、消化器内科の診療を行っています。
消化器内科の領域は範囲が広く、幅広い知識が必要なためぜひ専門医にご相談ください。些細なことでも構いません。少しでも気になることがございましたら、お気軽に当院へご相談ください。
文責:東海内科・内視鏡クリニック岐阜各務原院 院長 神谷友康