こんにちは。院長の神谷です。
3月も下旬になり、少しずつ暖かい日が増えてきていますね。
花粉症でしんどい方もお見えではないでしょうか。
本日は最近流行してきている麻疹(はしか)について少し書かせていただきます。
麻疹(はしか)とは
麻疹(はしか)は、麻疹ウイルスによって引き起こされる高度に感染性のあるウイルス性疾患です。世界中で流行し、特に予防接種を受けていない幼児や免疫力が低下している人々に重症化しやすい傾向があります。
麻疹の主な症状
- 高熱
- 咳
- 鼻水
- 結膜炎(目が赤くなる)
- 発疹(顔から始まり、体全体に広がる)
これらの症状の後、特徴的な赤い発疹が出現します。麻疹は感染してから約10~12日後に症状が始まり、発疹が現れる前の数日間でも他人に感染させる可能性があります。
重症化する場合
麻疹は多くの場合、自宅での休息と対症療法で回復しますが、一部の症例では合併症を引き起こし、重症化することがあります。重症な合併症には以下のようなものがあります。
- 肺炎 麻疹による最も一般的な重症合併症で、死亡の主要な原因の一つです。
- 脳炎 麻疹ウイルスが脳に感染し、炎症を引き起こすことがあります。脳炎は回復後も神経学的後遺症を残すことがあります。
- 亜急性硬化性全脳炎 (SSPE) これは非常に稀ですが、麻疹に感染した数年後に発症する致命的な脳疾患です。
症例
ある症例報告では、麻疹による脳炎の発症例が記載されています。麻疹に感染した後、患者は高熱、けいれん、意識障害を示しました。MRI検査で脳炎が確認され、集中治療室(ICU)での積極的な治療が必要となりました。この症例は、麻疹が単に発疹や発熱を引き起こすだけでなく、重症な脳疾患を引き起こす可能性があることを示しています。
麻疹(はしか)は非常に強い感染力があります。
麻疹(はしか)は、麻疹ウイルスによって引き起こされる感染症で、非常に感染力が強いことで知られています。麻疹ウイルスは空気感染するため、咳やくしゃみなどで飛び散った微小な飛沫を通じて簡単に他人に伝染します。
麻疹ウイルスは、感染者が部屋を離れた後も数時間空気中に残り続けることができ、そのため感染者がいた場所に後から入った人でも感染するリスクがあります。また、麻疹は感染してから発症するまでの潜伏期間が約10日から12日あり、発熱や発疹が現れる前の数日間でも感染力を持っています。このため、知らず知らずのうちに他人にウイルスを広げてしまうことがあります。
麻疹の予防には、麻疹ワクチンの接種が非常に効果的です。ワクチンは麻疹の感染を防ぐだけでなく、感染した場合の重症化を防ぐ効果もあります。
麻疹(はしか)ワクチンを受けた方がいい人
麻疹ワクチンを受けることが推奨される人は以下のようなグループに大別されます。麻疹は非常に感染力が強い病気であり、重症化するリスクもあるため、広範な集団に対して予防接種が勧められています。
- 幼児・子ども ほとんどの国では、生後12ヶ月頃に第1回目、4歳〜6歳頃に第2回目の麻疹含有ワクチン(通常は麻疹、おたふく風邪、風疹を含むMMRワクチン)の接種が推奨されています。
- 未接種または不完全な接種歴を持つ成人 過去に麻疹ワクチンの接種を受けていない、または接種回数が推奨される回数に満たない方(1回しか打っていない方)は、接種を受けることが推奨されます。
- 麻疹流行地域への旅行者 麻疹が流行している地域への旅行を計画している人は、出発前に麻疹ワクチンの接種状況を確認し、必要に応じて追加接種を受けることが勧められます。
麻疹ワクチンを打ちましょう。
麻疹はウイルスの病気なので、麻疹ウイルスへの特効薬は現在のところありません。ワクチンを打つことが唯一の重症化予防になります。
現在(2024年3月24日)、麻疹ワクチンは入荷が難しい状態が続いています。
当院でも麻疹ワクチンの接種を行っていますが、麻疹ワクチンがない場合は、麻疹と風疹の両方が予防できるMRワクチンを接種しています。麻疹に対する効果は変わりません。
早めの接種をお勧めいたします。ご不明な点がございましたら当院にお問い合わせください。
参考