50歳を越えたら気を付けましょう
皆さんこんにちは。東海内科・内視鏡クリニック院長の神谷です。今回は帯状疱疹について、帯状疱疹後神経痛を含めてお話させていただきたいと思います。
帯状疱疹とは?
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、過去に水痘(水ぼうそう)にかかった人に発症する病気です。水痘の原因となるウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:Varicella Zoster Virus) が、体内に潜伏し、免疫力が低下した時に再活性化することで発症します。このウイルスは一度感染すると、神経節に潜伏し、免疫力が低下した時に再活性化することがあります。その結果、神経を通じて痛みや水疱を伴う発疹が発生します。50歳代から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が発症すると言われています
帯状疱疹の症状は?
- 痛み: 帯状疱疹の最初の兆候は、神経に沿った刺すような痛みや違和感です。痛みは片側にのみ現れることが多いです。
- 発疹: 痛みが始まってから数日後、赤い発疹が帯状に現れます。発疹は水疱(みずぶくれ)になり、数日から1週間ほどでかさぶたができて治癒しますが、強い痛みを伴うことが多いです。
- かゆみ: 発疹が治るにつれてかゆみを伴うことがあります。
- 神経痛: 発疹が治っても、しばしば神経に沿った痛みが残ることがあり、これが「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる状態です。
発症する場所
帯状疱疹は、通常、神経に沿って体の一部に帯状に広がります。最もよく見られる場所は胸部や背中ですが、顔などに出現することもあります。
帯状疱疹の原因となる要因
帯状疱疹は、免疫力が低下した時に発症することが多く、以下の方に発症しやすくなります。
- 加齢: 高齢になると免疫力が低下し、帯状疱疹の発症リスクが高まります。特に50歳以上で発症リスクが高まります。
- 免疫抑制状態: 免疫力が低下する病気(HIV/AIDS、がん)や、免疫抑制薬(ステロイド、抗がん剤)の使用は帯状疱疹のリスクを高めます。
- ストレス: 精神的・身体的なストレスも免疫力に影響を与え、帯状疱疹を引き起こす一因となります。
治療
帯状疱疹は、早期に抗ウイルス薬の治療を開始することで症状を軽減させ、合併症のリスクを減らすことができます。
帯状疱疹の治療には、以下の抗ウイルス薬が主に使用されます。
1. アシクロビル(商品名:ゾビラックス)
- 特徴: 古くから使用されている抗ウイルス薬で、ウイルスの増殖を抑制します。
2. バラシクロビル(商品名:バルトレックス)
- 特徴: アシクロビルのプロドラッグで、体内でアシクロビルに変換され効果を発揮します。
3. ファムシクロビル(商品名:ファムビル)
- 特徴: ウイルスの増殖を抑える効果があり、錠剤が小さく飲みやすいのが特徴です。
4. アメナメビル(商品名:アメナリーフ)
- 特徴: 2017年に日本で承認された新しい抗ウイルス薬で、腎機能への影響が少ないとされています。
これらの抗ウイルス薬は、症状の進行を抑え、合併症の予防に効果的です。特に、症状が現れてから72時間以内に治療を開始することが推奨されています。
帯状疱疹が恐れられえている理由は=「帯状疱疹後神経痛」
帯状疱疹では、ウイルスが神経を攻撃し、神経に損傷を与えます。これによって、神経の痛みが発生し、発疹が治癒しても痛みが残ることがあります。痛みは刺すような、焼けるような痛みが続きます。この痛みが帯状疱疹の怖い理由です。
帯状疱疹後神経痛の痛みの持続期間はさまざまで、数週間から数か月で痛みが自然に治まることがありますが、数年にわたって痛みが続く場合もあります。稀に、生涯痛みが残るケースもあります。
帯状疱疹の後遺症予防のためにはワクチンが有効です。
帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹の発症を予防し、重症化を防ぐ効果があります。特にシングリックス®などの新しいワクチンは、帯状疱疹の発症を防ぐ効果が高く、さらに神経痛の予防にも効果があります。50歳以上の成人に推奨されており、特に免疫力が低下している人には強く推奨されます。
その他にも帯状疱疹が疑われる場合は早期に抗ウイルス薬で治療を開始することが重要です。神経痛がある場合は鎮痛剤や一部の抗うつ薬、抗てんかん薬などを投薬しますが、完全に痛みが良くならないことも珍しくはありません。
辛い神経痛に悩まされないようにしっかりと予防と対策を立てましょう。
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