内視鏡検査で鎮静剤を用いた方がよい?! | 東海内科・内視鏡クリニック 岐阜各務原院

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内視鏡検査で鎮静剤を用いた方がよい?!

こんにちは。東海内科・内視鏡クリニック 院長の神谷です。

今回は胃カメラ検査や大腸カメラ検査で鎮静剤を使った方がよいか迷っている方もお見えだと思います。

これまでのべ1万件以上の内視鏡検査を行ってきた中での、経験則を交えて私見を書かせていただきます。

内視鏡検査で鎮静剤を用いる利点・欠点・合併症

内視鏡検査(胃カメラや大腸カメラ)では、鎮静剤の使用が選択できる場合があります。鎮静剤の使用には患者さんにとってのメリットが多い一方、リスクデメリットも存在します。ここでは、鎮静剤を用いる場合の利点、欠点、そして考慮すべき合併症について詳しく解説します。

鎮静剤を用いる利点

  1. 苦痛の軽減: 鎮静剤を用いることで、検査中の痛みや不快感が大幅に軽減されます。大腸カメラ検査では、腸が膨張する際の痛みを感じやすいため、鎮静剤が有効です。また、胃カメラでは、咽頭反射や吐き気が軽減されるため、患者がリラックスした状態で検査を受けられます。

  2. 心理的負担の軽減: 鎮静剤により不安や緊張が和らぐことで、検査への恐怖心が軽減されます。このため、初めての内視鏡検査や過去に苦痛を経験した患者にとって、鎮静剤は検査のハードルを下げる効果があります。

  3. 検査の精度向上: 患者がリラックスした状態で検査を受けられるため、内視鏡医がより正確に検査を実施しやすくなります。鎮静剤を使用することで体の緊張が緩み、医師が内視鏡をスムーズに操作でき、観察に集中することができます。従って観察精度が向上します

 特に苦痛の軽減という点においては鎮静剤を使用するメリットは非常に大きく、これまで苦しくて内視鏡検査を行うことが嫌だと思われている方も安心して検査を受けていただけると思います。ぜひ、一度鎮静剤を用いた内視鏡検査を受けていただくことをお薦めします。

 また検査の精度向上も実は非常に重要なポイントです。胃カメラ検査や大腸カメラ検査で患者さんが苦しかったり、しんどい思いをされている場合には、検査を行う医師は多かれ少なかれ焦りが生じてしまいます。また患者さんの体動が大きかったり、呼吸が大きかったりすると内視鏡が安定しないため、観察が困難となることがあります。したがって医師が集中して観察を行うためには、患者さんも安定して落ち着いた状態であることがベストであるということが言えます。

鎮静剤を用いる欠点

  1. 回復に時間がかかる: 鎮静剤を使用した場合、鎮静剤の種類によっては検査後に眠気や意識の低下が数時間続くことがあります。これにより、検査後にすぐに帰宅できない場合があり、休息が必要です。また、鎮静剤の種類によっては検査当日は車の運転が禁止されることが多いため、公共交通機関や付き添いの手配が必要です。ただし、鎮静剤の種類によっては早く覚めるものがあり、その限りではありません。当院では可能な限り効果が短い薬剤を使用しています。

  2. 鎮静剤の偶発症: 鎮静剤を使用すると、鎮静剤によるアレルギーや呼吸抑制、血圧低下などの偶発症をおこす可能性があります。

鎮静剤使用に伴う合併症・リスク

  1. 呼吸抑制: 鎮静剤の一部は呼吸を抑制する作用があり、特に高齢者や呼吸器疾患を持つ方では呼吸が浅くなることがあります。そのため、検査中は常に酸素濃度をモニタリングし、必要に応じて酸素を補給するなど、慎重な管理が求められます。

  2. 血圧低下: 鎮静剤は血圧を低下させることがあり、特に低血圧の患者や心疾患を持つ患者においては、注意が必要です。血圧の低下が極端な場合には、追加の治療が必要になることもあります。

  3. アレルギー反応: 鎮静剤に対するアレルギー反応が起こる可能性があります。重篤な場合にはアナフィラキシーショックなどの緊急事態に至ることもあるため、過去に薬剤アレルギーがある方は事前に医師に伝えることが重要です。

  4. 意識レベルの低下: 鎮静剤を過剰に使用した場合、意識レベルが大幅に低下するリスクがあります。通常は適切な量で調整されますが、患者の体重や薬剤の感受性によって反応が異なるため、医師の注意深い管理が必要です。

結局、鎮静剤は使った方がよいの?

鎮静剤の使用は、患者の年齢、体力、既往歴、検査への不安の度合いなどを総合的に考慮して決定されます。

検査の精度や苦痛の軽減などを優先的に考える場合は鎮静剤は使用した方がいいでしょう。鎮静剤の使用は患者本人が楽なだけでなく、検査医師も落ち着いて検査をすることができ、検査の精度が向上すると思われます。

【良い適応の方】

80歳までの方で、心肺機能に大きな異常がない方、不安が強く、痛みに対して敏感な方

【適応を慎重に考える方】

高齢者や心肺機能に基礎疾患のある方は医師と相談して慎重に使用することをお薦めします。

検査後に仕事や運転、高所作業がある方は使用を医師と相談してください。

 

結論

内視鏡検査で鎮静剤を用いることには、検査中の苦痛や不安を軽減し、検査精度を向上させるという利点があります。しかし、呼吸抑制や血圧低下などのリスクも伴うため、患者の状態に応じて慎重に検討する必要があります。

最後に私見となりますが、鎮静剤を使用しての内視鏡検査は、患者さんも楽に検査が受けることができ、なおかつ検査医師も検査に集中できるため、可能な限り鎮静の使用をお勧めしております。

 

ご不明な点がございましたら当院にお尋ねください。

文責 ; 東海内科・内視鏡クリニック 岐阜各務原院 

院長 神谷 友康

 


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