大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)とは
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)は、肛門から細長いカメラを挿入して、大腸全体を観察する検査です。大腸ポリープや大腸癌、腸炎や潰瘍性大腸炎、クローン病などの様々な疾患での診断に必要な検査です。下血や下痢が続くなどの症状の原因を調べたい際は、まず大腸カメラ検査をして原因がないかを調べます。また診断だけではなく、その場で治療を行うことも可能です。
肛門から電子スコープを挿入し盲腸から回腸の末端まで大腸を全て直接観察します。治療の際は内視鏡の先端からスネアと呼ばれる輪っか状の器具や電気メスを出して行います。最近では内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの治療も盛んにおこなわれるようになり、大きなポリープや初期の大腸癌なども治療することが可能となっています。
40歳を超えたら大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を受けましょう
当院では大腸を詳しく調べるためには大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を推奨しています。
日本では2人に1人が癌になると言われており、その中でも食生活の欧米化などの要因により大腸がんの罹患率や死亡率は男女共に高くなっています。大腸がんは自覚症状がほとんど現れないまま進行し、進行すれば全身に転移を起こし、致命的となってしまいます。
大腸がんをなるべく早期に発見するために健診では検便の検査が行われています。検便で行われる便潜血検査は簡便で健診にはよいですが、特異度は約90%程度と言われています。つまり10%程度は便潜血検査で陰性であっても大腸がんがみつかることがあります。大腸がんの家族歴がある方や過去にポリープを指摘された方などは検便検査だけではなく、定期的な大腸カメラ検査を受けることをお勧めしています。
大腸がんは早期発見・早期治療をすれば完治が可能な病気であり、大腸ポリープを発見、切除する事で大腸がんの予防もできます。早期発見するためには、大腸カメラ検査最も良い方法です。自覚症状が無くても定期的な検査が重要となります。
発症リスクが高くなる40歳を超えたら、一度大腸カメラ検査を受けることをお勧めいたします。
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)を定期的に受けることの重要性
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)を定期的に受けることは、大腸がんを早期に発見し、予防する上で非常に重要です。大腸がんは進行が比較的遅いため、早期に発見すれば治療成功率が高くなります。以下は、大腸カメラ検査を定期的に受けるべき理由をいくつか挙げています。
-
早期発見・早期治療
大腸がんは初期段階であれば症状がほとんど現れないことが多いです。大腸カメラ検査により、がんや腺腫などの前癌病変を早期に発見し、適切な治療を行うことができます。 -
大腸がんの予防
大腸カメラ検査では、がんの前段階であるポリープを見つけて切除することができます。ポリープを早期に取り除くことで、がんへの進行を防ぐことが可能です。 -
生存率の向上
早期に大腸がんを発見し治療することで、生存率は大幅に向上します。特に、StageⅠの早期大腸がんの5年生存率は90%以上と非常に高いです。 -
家族歴の影響
大腸がんの家族歴がある場合、大腸がんになるリスクが高まることが知られています。そのため、家族に大腸がんの既往がある人は、より早期から定期的な検査を受けることが推奨されます。 -
年齢の影響
年齢が上がるにつれて大腸がんになるリスクも高まります。特に50歳以上の人は、リスクが高まるため、定期的な検査が推奨されます。
大腸カメラ検査は辛いイメージをお持ちの方がみえるかもしれませんが、当院では苦痛を最小限にするように工夫をしています。検査による恩恵は非常に大きいです。適切な時期に大腸カメラ検査を受けることで、健康な生活を維持し、大腸がんのリスクを低減させることができます。
当院の大腸カメラ検査の特徴 - FEATURES
- 消化器内科専門医による高精度な検査
当院では経験豊かな消化器内視鏡専門医が検査を行っています。大腸カメラ検査は挿入時に疼痛やお腹が張った感じが強くでたりするなど、検査自体に苦痛がでることがあります。病気発見の診断能力はもちろん大事ですが、検査の技術も必要そのような小さな病変を短い検査時間で見落とさずに発見するためには、消化器内科の医師が内視鏡を専門として、さらに長い臨床経験が必要です。修練を得た医師が検査を担当することで、検査から治療まで安心して診療を受けていただけます。
- 鎮静剤を用いた苦痛が少ない検査
過去に内視鏡検査で辛い経験をされたことはありませんか?
大腸カメラ検査は特に痛みが生じやすい検査で、痛みの感じ方も人それぞれです。中には「二度とこんな検査は受けたくない」とおっしゃる方もみえるほどです。しかしながら大腸カメラ検査は大腸を調べるためには非常に大事な検査で、大腸癌やポリープなどの病気を調べるためには欠かせません。
当院は可能な限り検査の苦痛を減らし、楽に検査を受けていただけるように鎮静剤(麻酔)を使用しています。検査の直前に薬を投与すると30秒ほどで眠ってしまい、目が覚めれば検査が終了しています。「気が付けば検査が終わっていました」というお言葉もよく頂戴します。
当院はなるべく多くの方に大腸検査を受けていただき、少しでも大腸癌で亡くなる方を減らしたいという強い信念のもと、楽で安心な検査を心がけています。
検査後は30分程度の休憩をしていただき、ご帰宅していただけます。
- 富士フイルム社製の最新内視鏡システムを導入しています。
当院では富士フィルム社製の最新内視鏡システムを導入しております。
拡大内視鏡
当院では大腸検査では全例、拡大内視鏡を使用しており、微小な病変も見逃しません。大腸の病変はその病変の特性上、生検で診断が確定することはありません。拡大内視鏡を用いて大腸病変の表面構造のpit patternを観察し、過形成性なのか、腺腫性なのかを診断つける必要があります。
当院ではすべてのポリープを拡大観察し、病変の診断を確実のものとするようにしております。
BLI(Blue Light Imaging)技術
BLI(Blue Light Imaging)技術では胃や大腸の表面の腺管構
造や血管構造をより鮮明に観察することが可能となり、大腸ポリープや大腸がんがより発見しやすくなります。また病変を見つけた場合には拡大内視鏡により、病変の表面構造を観察し、より正確な診断につなげていきます。
右の画像はBLIと拡大内視鏡検査を組み合わせた画像です。病変は弱拡大により腸の表面構造(pit pattern)がわかり、表面構造から大腸腺腫であることが内視鏡所見で診断が可能となります。
- その他の特徴は以下のとおりです。
- 検査中に発見されたポリープはその場で切除
医療機関によっては、発見されたポリープはまた次の検査時に切除するところがあります。そうなると、再度受診の予約を取って、検査の日にちを決め、下剤を飲んでと患者様の負担が大きくなってしまいます。当院ではそのような不便さを少しでも解消するために、日帰りで切除可能なサイズのポリープは検査と同時に切除するようにしています。
ただし、ポリープのサイズが大きいなどの理由で出血の恐れがある場合は入院での切除が必要となりますので、当院では切除できません。検査後、入院施設のある医療機関を紹介させていただきますのでご承知おきください。
大腸ポリープについてはこちらのページに詳しく書いてありますので、ご参照ください。
- 下剤を飲まない大腸カメラに対応(鼻チューブ法・内視鏡的洗浄液注入法)
約1.5Lほどある下剤を飲むのが難しいという方は、鼻から胃にチューブを留置して、チューブから下剤を投与する鼻チューブ法、内視鏡で下剤を注入する内視鏡的洗浄液注入法を選択することが可能です。一度当院へご相談ください。
下剤を飲まない大腸カメラについてはこちらのページに詳しく書いてありますので、ご参照ください。
- 選べる下剤
当院ではモビプレップ、サルプレップ、ニフレック、ビジクリアの下剤からお選びいただけます。
各下剤の特徴は以下の通りです。
モビプレップ(液剤)
※当クリニックで最も使用している下剤になります。
モビプレップはお薬を水で溶かして飲むことで腸管内をきれいにするお薬です。
この製剤のメリット | 薬剤の服用量が少なく済みます。 | |
この製剤のデメリット | 薬剤の半分量の水、又はお茶、麦茶、ウーロン茶、紅茶(糖分の入っていない物)を服用します。 | |
飲み方 |
|
|
以下の診断を受けた方は本剤をお選び頂けない場合があります。 | 腎臓に疾患をお持ちの方 |
ニフレック(液剤)
ニフレックはお薬を水で溶かして飲むことで腸管内をきれいにするお薬です。
この製剤のメリット | 服用方法が簡単である。 腸管内の残渣が少なく、正確な検査が期待できます。 |
|
この製剤のデメリット | レモン風味の特有の味があり、個人によっては飲みにくいと感じることがあります。 | |
飲み方 |
|
サルプレップ(液剤)
サルプレップはペットボトル入りの製剤をそのまま飲むことで腸管内をきれいにするお薬です。
この製剤のメリット | 薬液はレモン風味で、薬剤を溶かす手間が不要で服用量が少なく済みます。 | |
この製剤のデメリット | 後味に苦味を感じることがありますので、個人によっては飲みにくいと感じることがあります。 | |
飲み方 |
|
|
以下の診断を受けた方は本剤をお選び頂けない場合があります。 | 腎臓に疾患をお持ちの方 |
ビジクリア(錠剤)
ビジクリアはお薬(錠剤)を水分と一緒に飲むことで腸管内をきれいにするお薬です。
この製剤のメリット | 錠剤を飲む時は水、お茶、麦茶、ウーロン茶、紅茶(糖分の入っていない物)でお飲みいただけます。 | |
この製剤のデメリット | 錠剤が大きく個人によっては飲みにくいと感じることがあります。 | |
飲み方 |
|
|
以下の診断を受けた方は本剤をお選び頂けない場合があります。 |
|
- リカバリールーム個室を完備、検査後は寝たままお運びします
当院では内視鏡後のリカバリールームを完備しています。個室の部屋もありますので、検査後しっかりと休んでいただくことができます。鎮静剤(麻酔)などの薬剤を使用した後は、ご自身で移動していただく必要がなく、安全性などの配慮から寝たまま移動していただきます。
- 胃カメラ検査、大腸カメラ検査を同時に受けることができます。
当院では胃カメラ検査と大腸カメラ検査の両方を同時に受けていただくことも可能です。食事制限や検査も1回で済むので、お忙しい方におすすめできます。胃カメラ検査と大腸カメラ検査を同日に可能かどうかについては医師が判断しますので、まずは事前に外来に受診をしていただき、ご相談ください。
- 土日も検査・診察に対応
平日は仕事や学校などでなかなか受診できない方は当院にご相談ください。特に大腸カメラ検査は朝から昼過ぎまで時間をとられることが多い検査です。当院ではより多くの方に内視鏡検査を受けていただくことができるように、土曜日や日曜日の検査を受け付けています。土・日曜日の大腸検査は原則予約制となっております。予約についてはWebサイトやLINE予約またはお電話にてお問い合わせください。
大腸カメラ検査でわかる病気 - DISEASE
- 大腸がん
- 大腸ポリープ
- 虚血性腸炎
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 感染性腸炎
- 大腸憩室症
- 腸管スピロヘータ症
- 赤痢アメーバ腸炎
- Collagenous Colitis など
検査の流れ
1事前診察予約
大腸カメラ検査をお受けになられたい方は、まず検査を安全に受けられる状態なのか医師が診療して判断するため、事前に診察が必要となります。
大腸カメラを希望される方は、可能であれば外来受診の予約を取得して下さい。受診予約はWebかLINE予約をご利用ください。
2事前診察
事前に外来を受診していただき、検査の日にちを決め、大腸カメラ検査の注意事項や食事などに関する説明を受けていただきます。前日に飲んでいただく下剤などをお渡しします。
お薬手帳をお持ちの方は、必ずご持参し受付でスタッフにお渡し下さい。
3大腸カメラ検査前日
大腸カメラ検査前日は食事内容に気を付けてください(事前診察の際にご説明させていただきます)。
眠前にお渡しした下剤を服用してください。
4大腸カメラ検査当日朝
大腸カメラ検査当日朝からは絶食となります。お水やお茶などの水分は摂取していただいて構いません。
内服薬については、糖尿病薬は中止します。高血圧の薬は服用してください。その他の薬は事前診察の際にご指示いたしますので、その指示に従ってください。
5来院
朝の指定時間に 来院して頂きます。
6前処置・検査
院内の専用ブースで腸管洗浄剤を内服します。 院内には医師や看護師がいるため、安全・安心な状態で前処置を行うことが出来ます。
前処置の下剤を服用していただき、通常の便から薄い黄色透明な排泄液になりましたら検査が可能となります。
鎮静剤(麻酔)を使用する場合は点滴を開始します。検査の直前に鎮静剤(麻酔)を投与いたします。
検査時間は15分程度です。ポリープを切除したりすると30分程度かかることもあります。
7リカバリー
鎮静剤(麻酔)を用いた検査では、検査後にリカバリールームで30分から60分程度お休みいただいています。
鎮静剤(麻酔)の使用のない方は内視鏡検査後にお休みいただく必要はありません。
8結果説明
① 鎮静剤(麻酔)を使わず検査を受けられた方
大腸カメラ検査後すぐに結果説明を行い、その後はご帰宅が可能となります。
② 鎮静剤(麻酔)を使った検査を受けられた方
リカバリールームでお休みいただいた後に医師より検査結果の説明をさせていただきます。
なお、検査中に組織を採取した場合や、ポリープ切除を行った場合は、結果に約1~2週間程度かかりますので、再度ご来院いただいて結果をお伝えいたします。
大腸カメラ検査前の食事
大腸検査前の食事は検査食を食べていただく医療機関もありますが、当院は検査食は必要としません。
以下の内容に気を付けてください。
- 食事は通常量の食事を食べていただいて構いません。
- 消化によいものを食べましょう。生ものは避けて、よく火の通ったものを食べてください。
- アルコールは少量であれば構いませんが、深酒はしないようにしましょう。
- 繊維質の多い食事は避けてください。
キノコ類、海藻類、繊維の多い野菜、果物類の種、胡麻、ナッツなどは避けましょう。 - 夜9時ごろまでに食事を終えましょう。水分摂取は制限はありませんので、脱水にならないように十分な量を摂取してください。
検査の費用
大腸カメラ検査料金は下記の表をご参照ください。詳細な金額の内訳などを確認されたい方はご遠慮無くお問い合わせください。
※下記の表は参考金額です。実際の診療内容によって金額は変動致します。
検査(治療)内容 | 1割負担 | 3割負担 |
---|---|---|
大腸カメラ検査のみ | 約2,500円 | 約7,500円 |
大腸カメラ+病理組織検査 | 約3,000-5,000円 | 約9,000-15,000円 |
日帰り大腸ポリープ切除 | 約5,000-10,000円 | 約15,000-35,000円 |
※注 病理組織検査やポリープ切除は数によって金額が変化します。
※日帰り大腸ポリープ切除は、加入されている医療保険、生命保険によって、「内視鏡手術」として還付金がおりる可能性があります。加入されている保険の保険会社にお確かめください。
よくある質問
痛みがなく大腸内視鏡検査を受けられますか?
大腸内視鏡検査時の痛みなどについては個人差がありますが、鎮静剤を使用することで、眠っているのに近い状態で大腸カメラ検査を行うことができます。
また、大腸内視鏡検査時の苦痛は、担当する医師の技量にも影響されます。当院は内視鏡を経験豊富な消化器内視鏡専門医が行っており、極力痛みを感じさせないように大腸カメラ検査を受けて頂くように様々な配慮をしております。
検査にかかる所要時間はどれぐらいですか?
実際の検査時間は約10~30分程です。しかし、大腸検査は通常下剤を服用していただく時間がありますので、院内での滞在時間は下剤服用などを含めると約4~6時間程度かかります。通常は朝9時ごろに来院していただき、すべて終了いたします時刻は15時~16時ぐらいになります。
なかなか1日予定を空けることが難しい方は午前中で検査を完結できる「モーニング大腸検査」も実施しております。
大腸カメラ検査が必要なときはどんな時ですか?
大腸内視鏡検査は大腸がんを早期発見することを目的とした検査です。そのため、大腸がんの早期発見、予防を希望される方は是非検査を受けてください。また便潜血検査で陽性となった場合は大腸癌の疑いがありますので、必ず大腸カメラ検査を受けてください。
また、排便の調子が悪かったり、様子がいつもと違う場合は、大腸に何かしらのトラブルが発生している場合があります。その際には是非大腸内視鏡検査を受けてください。
ポリープを切除するとき、痛みがありますか?
ポリープ切除は特に痛みは感じません。
ポリープ切除の際はスネアという先端が輪になった器具で粘膜と粘膜下層を切除します。この部分には痛みを感じとる神経は存在していません。そのため痛みを感じることはありません。
大腸カメラ検査でポリープが見つかる確率は?
便潜血検査が陽性の方が、ポリープなど他の病気が見つかる確率は40%から50%といわれています。
当院の大腸腺腫検出率(ADR)は約60%前後です。
大腸腺腫検出率(ADR)について知りたい方はこちらをご覧ください。
大腸カメラ検査で大腸がんが見つかる確率は?
便潜血検査が陽性の方で大腸検査を行った場合、大腸がんが見つかる確率は2%程度とされています。
その他、ご不明な点等ございましたらお気軽にスタッフにお聞きください。
当院では各務原市はもちろんですが、岐阜市、岐南町、関市、笠松町、羽島市、瑞穂市にお住いの方からも診察や大腸カメラ受診目的でご来院して頂いております。
当院は、経験豊かな消化器内視鏡専門医が大腸カメラ検査を行っております。鎮静剤を用いた苦痛が少ない検査も実施しておりますので安心して大腸カメラ検査をお受けいただきます。大腸カメラ検査をご希望の方はお気軽に当院へご相談ください。
また、当院は国道156号線沿いに位置しており、本巣市、山県市、美濃加茂市、美濃市、郡上市、一宮市、江南市、犬山市、扶桑町、大口町からのアクセスも良いため多くの患者様にご来院いただいております。
文責:東海内科・内視鏡クリニック岐阜各務原院 院長 神谷友康